Equine Veterinary Education Volume 27, Issue 7 2015.
”要約
近位繋靭帯炎と近位深屈腱支持靭帯炎を併発した症例の臨床的特徴はこれまでに記録されていない。
本研究の目的はその臨床症状および診断を記述することである。
本研究は回顧的調査である。
症例の詳細は、患肢、診断麻酔への反応、X線および超音波検査所見を記録した。
近位繋靭帯炎と近位深屈腱支持靭帯炎は19頭でみられた。うち14頭は前肢(両前5頭、片側9頭)、5頭は後肢(両後3頭、片側2頭)であった。合計31の患肢のうち、7肢で局所的な臨床所見が得られた。内訳は深屈腱支持靭帯のわずかな肥厚(n=3)、繋靭帯体部の触診痛(n=6)、中手または中足近位部の熱感(n=2)であった。
前肢の跛行は、掌側中手神経のブロックにより17/23で消失した。他は手根中央関節ブロック(n=2)および尺骨神経ブロック(n=4)にて跛行が消失した。
後肢の跛行は外側足底神経深枝のブロック(n=2)または中足近位底側への局所浸潤(n=3)により跛行が消失した。他は3頭で脛骨神経ブロックにて跛行が消失した。
繋靭帯および深屈腱支持靭帯の損傷の超音波検査における特徴は、靭帯の腫大および不均一なエコー源性、長軸断面での配列の消失であった。3頭で、解剖時に支持靭帯と繋靭帯の癒着が認められた。超音波でこれらが密接して並行しているように見えることは癒着を示唆する所見かもしれない。近位繋靭帯炎と近位深屈腱支持靭帯炎の併発は、近位繋靭帯炎単独の所見と似通っているが、超音波検査による理解と全体的な評価の必要性が強調された。”