馬の長骨の伸長をつかさどる成長板は、肢端から順番に閉鎖し成長が止まっていきます。馬において最も骨が成長する時期は生後6か月で、それ以降は徐々に成長が止まっていきます。
サラブレッド種の馬において、球節部(第一指骨と第三中手/中足骨)の成長板は約12ヵ月が、橈骨遠位の成長板は約24ヵ月が閉鎖の目安とされています。上腕骨、脛骨近位、大腿骨遠位、骨盤はさらにそれよりも遅く、5-6歳齢になるまで骨の成長は続くと考えられています。
今回紹介する文献は、アイスランドホースというヨーロッパの品種について、X線検査可能な部位の成長板閉鎖時期を明らかにし、他の種類の馬と比較し、ALPおよびキ甲の高さ(体高)との相関についても検討されています。
成長板閉鎖時期
他の種と比較してもだいたい同じくらいの時期に成長板の閉鎖がおこっていた。ただし、橈骨遠位の成長板閉鎖は、他の大型種よりも遅かった。X線による評価は主観的で、小型馬の成長板は細く、評価が難しい。小型馬のほうが成長が緩やかなことが示唆された。
血中ALPの動態
ALPは初めの1年で急激に減少した。これはALPのアイソザイムのうち、骨型のALPが急激に減少することと関連していて、他の種でも同様の動態が示されている。38-40カ月齢では検査したすべての成長板は閉鎖し、キ甲の伸長も終わり、ALP濃度は横ばいになっていた。
しかし過去のアイスランドホースの研究で放牧のみだった馬と比較すると、この研究で用いた騎乗している馬のグループでは高い値を維持していた。この原因として、まだ閉鎖していない成長板の影響や、閉鎖後の成長板もリモデリングが起きていること*1、軽い調教をしている馬では肝臓と骨由来のALPが上昇すること*2などが報告されている。