育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

トウ状骨の粉砕骨折と深屈腱断裂(Hoegaertsら2005)

トウ状骨の骨折は、慢性跛行の原因となります。

トウ嚢に対して繰り返しステロイド投与を行うことは、深屈腱実質の変性を招くことがあり、注意が必要です。

 

 

参考文献

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

要約

10歳の障害飛越競技馬が急性の右前肢重度跛行(グレード4/5)により検査を受けた。患肢負重時には蹄尖部を背側に向けて、深屈腱の断裂を示唆していた。蹄のX線検査において、トウ状骨の屈腱面に重度の骨融解と傍矢状骨折がみられた。これらの所見は、剖検時に確認された。急性の跛行に先駆けて、トウ嚢内にコルチコステロイド投与をうけていた。トウ嚢内へのコルチコステロイド投与を繰り返すことは深屈腱断裂の可能性があることが議論されていて、トウ状骨の変性性変化と骨折および深屈腱断裂に関連がある可能性も議論されている。

 

馬の骨折整復や診断、周術期管理について詳しく知りたい方におススメ