P1矢状方向の骨折(いわゆる縦方向の骨折)の内固定方法は、関節面に近いほうを背側と掌側に2本のスクリューを設置するトライアングル法が近年の主流となっています。
しかし、臨床成績を比較した調査はこれまで行われていませんでした。
調査で分かったこと
立位鎮静下でトライアングル法で整復したP1矢状骨折(不完全と変位のない完全骨折)の臨床成績について評価した。
英国のサラブレッド競走馬について成績を調査したところ、競走復帰率は81%、競走復帰までの中央値は289日と、良好な競走復帰の成績であった。
参考文献
背景
P1矢状骨折の整復にはトライアングル法が好ましいと示唆されてきた。
目的
P1不完全骨折および変位がほとんどない完全骨折を発症したサラブレッド競走馬に対して、トライアングル法で整復した馬の成績を評価し、同様にリニア法で整復した集団と比較すること。
研究デザイン
回顧的症例集
方法
医療記録とX線画像を評価し臨床データを得た。競走復帰の日付はRacing Postの公式ページから得た。生存データはログランク解析で比較した。
結果
62頭の馬と1頭は別々に骨折した症例であった。54頭の馬はトライアングル法で整復した。10頭はリニア法で整復した。トライアングル法で整復した馬の81%(43/53)は競走復帰し、復帰までの期間は中央値289日(161-482日)であった。リニア法で整復した馬の70%(7/10)は競走復帰し、復帰までの期間は中央値351日(230-815日)であった。
主な限界
従来のリニア法で整復した馬の症例数が少なかった。
結論
P1矢状方向の不完全骨折および変位していない完全骨折に対して、立位鎮静下でトライアングル法で整復することは効果的である。競走復帰率は良好で、合併症の発生率は低い。
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