X線検査の画像クオリティが目覚ましく進歩してきたこと、MRIやシンチグラフィの情報と併せて考察されてきた結果、第一指骨の骨折に前駆病変がある可能性が示されています。
軟骨下骨の厚みの計測方法について
DR(デジタルラジオグラフィー)を用いた球節の背掌側または背底側像の撮影を行い、近位関節面の軟骨下骨プレートの厚みを計測しています。軟骨下骨プレートは、第一指骨の関節面における不透過性の高い層のことで、これを実測値および第一指骨の全長に対する割合で比較しています。
この変化はMRIによる軟骨下骨の評価でも同様に指摘されていて、早期に発見し運動プログラムを改善することで重度の骨折を防ぐことができる可能性があります。
“要約
研究を行った理由
第一指骨の骨折は単調で超生理学的な負荷によっておこるとみなされているが、臨床例のX線画像から、ストレスに関連した病因も示唆されている。
目的
第一指骨傍矢状骨折が確認されたサラブレッド競走馬においてX線画像で前駆病変があったか調べること
研究デザイン
回顧的横断研究
方法
第一指骨傍矢状骨折症例の記録およびX線画像を解析した。軟骨下骨の厚みは患肢および対側肢で測定し、前駆病変と認められる所見を調べた。
結果
軟骨下骨は対側肢よりも患肢のほうが有意に厚かった。その他の前駆病変は、患肢で15/110(14%)、対側肢で4%に認められた。
結論
本研究では、いくつかの症例は単調な負荷の繰り返しよりもストレスが骨折の原因と考えられた。軟骨下骨の厚みの増大は骨折に繋がる骨の変化を反映している可能性がある。
潜在的関連性
第一指骨骨折の病因について理解を深めることで、骨折リスクを減少できるかもしれない。”