脛骨疲労骨折とは
疲労骨折と運動歴および発症率
疲労骨折と完全骨折
脛骨疲労骨折はサラブレッドだけでなくスタンダードブレッド競走馬にも発生します。
スタンダードブレッド競走馬では脛骨疲労骨折が骨幹中央部に発生することが特徴的で、核シンチグラフィやX線検査で診断が可能でした。十分な休養とリハビリ期間を設けることで、ほとんどの症例は競走復帰することが可能で、8割はもとのクラス以上で出走できました。
参考文献
目的
スタンダードブレッド競走馬の脛骨疲労骨折について、臨床症状、X線およびシンチグラフィ検査所見、競走成績を明らかにすること。
デザイン
回顧的症例集
動物
脛骨疲労骨折を発症した13頭のスタンダードブレッド競走馬
方法
医療記録を回顧し、臨床症状、診断および指導についての情報を得た。診断前後のパフォーマンスに関する情報について競走成績を調査し、追跡調査は馬主または調教師への電話聞き取りによって行った。
結果
脛骨疲労骨折を発症した馬は、中程度の跛行を呈し、核シンチグラフィやX線検査により診断された。古馬よりも2歳馬に多く骨折が発症した。スタンダードブレッド競走馬の骨折箇所は特異的で、脛骨中位骨幹部が11/13を占めた。一方でサラブレッド競走馬では近位尾側または尾外側が通常である。すでに競走しているか調教が進んでいた若い馬で骨折を発症していた。すべての馬に対して治療は休養のみで、13頭中10頭が競走復帰した。競走復帰できた馬は、骨折以前と同じかそれ以上のレベルに出走することができた。10頭中8頭の馬が生涯でベストの稼ぎを得た。
臨床的示唆
脛骨疲労骨折は若いスタンダードブレッド競走馬の跛行の原因となる。核シンチグラフィは診断の助けとなる。脛骨疲労骨折後に以前のパフォーマンスに復帰できる予後は良好である。