サラブレッド競走馬では、第1趾骨底側の骨片は跛行の原因となることがあります。
一方で、スタンダードブレッドではこの所見はよくみられ、骨片摘出がよく行われているようですが、手術前後でパフォーマンスが変化することはなかったと報告されています。
参考文献
研究を実施した理由
スタンダードブレッドにおいて、P1近位掌側または底側の骨片は頻繁にみられるX線所見である。この病変は、通常であれば競走デビュー前に除去されるが、手術適期に関する根拠はなにもない。
目的
術前は手術日に近づくにつれてタイムが遅くなるのか、術後はスピードが上がるのかを明らかにすること。術後の競走に影響する要素を調査し、術前の出走の有無でパフォーマンスを比較すること。
研究デザイン
193頭のスウェーディッシュスタンダードブレッドのトロット競走馬についての回顧的研究
方法
医療記録とX線画像を調査した。オンラインの公式記録から競走成績を得た。術前の競走パフォーマンス評価には一般化推定方程式を用い、これが術前の出走がある馬とない馬で異なるか明らかにした。多変量回帰解析を用いて、生涯の獲得賞金および出走数を評価した。
結果
術前に出走していた馬は手術が近づくにつれてタイムが遅くなるということもないし、術後に早くなることはなかった。術前の出走の有無にかかわらず、レーススピードは変わらなかった。術前の出走歴は術後に出走するかどうかに関連しなかった。3肢の骨折は、他の馬よりスピードは遅かった。他にはスピード、生涯出走回数、獲得賞金およびトップスピードに影響する変数はなかった。
結論
出走歴の有無でレーススピードに有意差はなかった。術前にスピードが落ちることはなかった。3肢の骨折を発症した馬は他よりもタイムは遅かった。手術のタイミングはスピードや競走寿命とは関連しなかった。外科的介入の潜在的な利点はじっくり評価するべきである。