第三手根骨矢状骨折は、現在では可能な限り内固定することが推奨されています。
文献でわかったこと
外科と非外科療法を行い比較。治療法ごとの競走復帰率は、内固定術では7/7、骨片摘出では8/9、保存療法では7/16で、競走復帰を目指すなら手術が必要な骨折だと示唆されています。
”要約
目的
競走馬における第三手根骨矢状方向盤状骨折に対して、外科および非外科療法を行い、競走復帰および1走あたり獲得賞金について成績を比較すること。
デザイン
回顧的研究
動物
32頭の競走馬(サラブレッド19頭、スタンダードブレッド11頭、アラブ2頭)
方法
医療記録やX線画像を回顧的調査し、シグナルメントや治療法について情報を得た。追跡調査は競走成績の記録を得た。手術前後に1走以上している馬に関して、1走あたり獲得賞金についてロバスト回帰解析を用いて評価した。
結果
治療後、22頭(69%)は1走以上した。骨折を圧迫固定術した7頭は、すべて術後に出走を果たし、手術していない馬と比較して有意に1走あたり賞金が高かった。関節鏡視下で損傷した骨軟骨を掻爬した馬は術後8/9が出走した。一方で、手術せず馬房内休養した馬は7/16の復帰のみであった。
結論と臨床的関連性
研究の結果から、第三手根骨矢状方向の盤状骨折を発症した競走馬の、治療後の競走復帰の予後は良好であると示唆された。手術した馬は、しなかった馬よりも競走復帰できる可能性は高かった。”