中手骨には小さな骨損傷による骨膜炎がおき、いわゆるソエ(管骨骨膜炎)として知られています。
しかしまれにX線検査で骨折線が診断できる疲労骨折も見られることがあります。保存療法でも良好な治癒が期待できますが、休養期間やパフォーマンスを改善するためにスクリュー固定術も検討されています。
“要約
研究を実施した理由
背側皮質の疲労骨折に対する最良の治療法およびその効果についれは明確になっていない。本研究は、サラブレッド競走馬における背側皮質の疲労骨折に対するラグスクリュー固定の成功率を評価するために行った。
仮説
背側皮質の疲労骨折に対するラグスクリュー固定は効果的な外科手技で、術前のパフォーマンスレベルに復帰することを可能にする。
方法
1986-2008年の期間で、Equine Medical Centerに来院した116頭の競走馬、うちサラブレッド競走馬103頭の記録を調査した。医療記録から、患肢、骨折の形状、整復に用いたスクリューの長さ、同時に行った手術手技があれば記録した。競走パフォーマンスは、Fisherの正確確率検定またはノンパラメトリック検定を用いてP<0.05を有意水準とした。
結果
92頭のサラブレッドのうち、83%は術前出走歴があり、83%は術後に出走し、63%は5回以上出走した。年齢、性別、患肢、骨折の形状、同時に行った手術手技の有無は、術後に出走するかと術後に5回以上出走する可能性との有意な関連はなかった。術前の3走と比較して、術後の3走における出走当たり平均賞金とパフォーマンス指数は低かった。しかし術前後で平均賞金とパフォーマンス指数が改善した馬は29%、差がなかった馬が45%もいた。
結論と潜在的関連性
データから、背側皮質の疲労骨折に対するラグスクリュー固定により競走能力を回復できることが示された。”