若齢競走馬では、様々な形状の疲労骨折が発生する可能性があります。
管骨の疲労骨折は、X線側方像でよく診断される背側皮質骨の斜め方向の罅裂骨折が一般的ですが、まれにX線掌背側方向(正面像)の撮影で診断できる斜め矢状方向への骨折も発生するようです。私個人はこの疾患を診断したことはありません。
文献のX線画像を見る限り、骨折線が非常に鮮明に写るようです。あまりなじみはないですが、不完全骨折に対して骨穿刺術(Osteostixis)を行うことにより、骨癒合を促進させる狙いがあるようです。スクリュー固定した1頭は再発していました。
参考文献
目的
馬の第三中手骨背側皮質骨の斜矢状不完全骨折、外科的整復およびその後のパフォーマンスについて記述すること。
研究デザイン
医療記録と競走成績の回顧的調査
動物
2-4歳齢の6頭のサラブレッド競走馬
方法
術前にX線検査により骨折を確認し、全頭で外科的な整復を全身麻酔下で行った。3つの骨折は皮質骨に圧迫をかけるラグスクリュー固定、5つの骨折は骨穿刺術(Osteostixis)を行った。術後のパフォーマンスを明らかにするため、全頭で競走成績を回顧した。
結果
骨折は掌背側方向のX線検査でもっともよく観察できた。皮質骨のスクリュー固定を行った3頭は競走復帰したが、1頭は骨折が再発し骨穿刺術を行った。この馬および骨穿刺術を行った他の3頭も術後に出走した。
結論
第三中手骨背側皮質骨の斜矢状不完全骨折の馬は、外科的にスクリュー固定や骨穿刺術を行うことで競走復帰できた。この骨折に対する術者の好みの治療方法は骨穿刺術である。
臨床的関連性
若齢のサラブレッド競走馬において、第三中手骨背側の疲労骨折が疑われる場合、掌背側方向のX線撮影が推奨される。