第三手根骨の矢状方向の骨折は、骨折が起きる部位や方向が特殊なため、一般的なX線診断だけでなく特徴的な撮影方法が必要です。
第三手根骨の矢状方向の骨折は、橈側面の内側角、つまり第二手根骨と隣り合う面に多く発生することが分かっています。この部位に発生する骨折線は非常に細く、これを診断するためにはできるだけ骨折線に平行にX線を照射することが求められます。
今回紹介する文献では、実は第二と第三の関節面は、通常のスカイビュー像よりも15-35度外側に角度をつけて撮影することでよりクリアに見え、骨折線も診断しやすいことが示されました。
触診や診断麻酔などで手根中央関節の異常を確信している場合には、複数の角度から第三手根骨を撮影し、慎重に評価する必要があります。
”要約
背景
馬の第三手根骨矢状方向骨折のなかには、従来のX線撮影方法では検出が困難な症例がある。
目的
第三手根骨矢状方向の骨折を検出する革新的なX線撮影方法について記述すること。
研究デザイン
X線検査についての回顧的調査研究。
方法
サラブレッド競走馬において、手根骨遠位列の背側近位外側-掌側遠位内側方向の撮影で検出できるが、標準的な背側近位-背側遠位撮り下ろし像では検出できない第三手根骨矢状方向骨折の症例を対象とした。
結果
2013年8月-2017年8月の期間で、この撮影方法で診断した骨折は8症例であった。
主な制限
盲検ではないこと。
結論
従来のX線撮影では、第三手根骨骨折の深刻な骨折を見逃してしまう可能性がある。従来のスカイビュー像よりもわずかに外から撮影する今回の方法は、競走馬の腕節損傷を調べるのに役立つ。”