育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

非競走馬での中心足根骨骨折4例(Knuchellら 2016年)

中心足根骨の骨折は、第三足根骨に比べるとまれな骨折です。

特に非競走馬ではまれな骨折ですが、これは単純X線検査でも十分に診断可能で、底外-背内方向(斜め外側から)で少しずつ角度をずらしながら撮影することで診断可能です。

 

参考文献

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

競走馬以外の馬では、中心足根骨の骨折は急性後肢跛行の原因としてほとんど認識されていない。この骨折は診断が難しく、形状やその結果についてほとんどわかっていない。この回顧的症例研究の目的は、非競走馬における中心足根骨骨折の臨床的特徴、画像所見、成績について明らかにすることである。2001-2014年の期間で、非競走馬の中心足根骨骨折症例の医療記録を調査した。X線、超音波、CT、シンチグラフィの画像検査所見を収集した。症例の経過、臨床症状、成績を記録から収集した。組み入れ基準に合致した馬は4頭であった。骨折の形状は全て似ていて、骨折線は背内側から底外側方向に向いていて、単純な変位のない盤状骨折であった。底外側-背内側斜位の方向でX線撮影すれば全て骨折線を検出できた。今回の調査で非競走馬では一貫して背内側-底外側方向の骨折線であり、これは競走馬での報告とは異なっていた。CTは骨折線の検出や評価に有用であるが、筆者らは適切な撮影方向であればX線検査でも検出できると提案する。中心足根骨骨折を疑う場合には、底外-背内方向で少しずつ角度をずれしながら撮影することを推奨する。