1歳セリのレポジトリー検査で見つかることがある種子骨遠位骨折ですが、多くは臨床的に問題なく調教や出走をこなせます。しかし、なかには調教の負荷に耐えられず、再損傷を起こしてしまうことがあります。そもそも遠位の骨片は種子骨靱帯からけん引力を受けるために、変位や癒合遅延が起こることがあります。リスクがあることを承知の上で購買するべきですし、ここで紹介するように先手を打って摘出してしまうのもひとつの選択肢になるかもしれません。ただ、この手術をした馬が調教および競走に耐えられるかどうかはわかりません。
超音波でアシストした種子骨遠位骨折の関節鏡手術
・購買前検査(レポジトリー)で種子骨遠位骨折を診断したサラブレッド1歳7頭
・診断時点での症状の有無に関しては記載なし
・すべて関節外に骨片があったが、4頭は関節内にも骨片があった。
・術後2週間舎飼い、次の2週間は引き運動、次の2ヵ月はパドック放牧、その後運動開始。
・6-8ヵ月のフォローアップ期間で患部に臨床症状なし。
目的
サラブレッド種1歳の種子骨底部骨折を超音波でアシストして関節鏡視下で摘出する方法を記述すること。動物
サラブレッド種1歳馬7頭方法
購買前検査にて種子骨底部骨折が判明した馬に対して、掌/底側からの関節鏡と超音波ガイドを併用して骨片を除去した。骨片の除去完了は超音波およびX線検査によって確認した。結果
ロンジュールと高周波プローブを用いて骨片から軟部組織を取り除くことができた。術中および術後の合併症は認められなかった。6-8ヵ月のフォローアップ期間では種子骨底部の骨片および骨増生は確認できなかった。結論
超音波ガイドにより、種子骨底部の骨片の部位を特定し、切離し、除去できたことを確認することができた。