喉頭蓋軟骨の大きさを側方X線像で評価すると、実物と非常に良好な相関があるという文献を紹介しました。今回は内視鏡検査でも評価が可能であるか検討した文献を紹介します。
文献のハイライト
内視鏡検査で明らかに喉頭蓋の低形成と判断した馬は、X線検査による長さの測定でも健常馬より明らかに短いという相関がありました。
内視鏡検査でも明らかな低形成とわかるような馬では、X線検査による測定を行わなくてもよいのかもしれません。
”要約
35頭のサラブレッド、44頭のスタンダードブレッドに対して、喉頭蓋エントラップメントを内視鏡下でイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)レーザーを用いて処置した症例を集めた。
術前に、内視鏡検査のみで外見から喉頭蓋軟骨が低形成または正常か分類した。X線側方像から、甲状軟骨から喉頭蓋までの長さを測定した。78頭の競走馬について、獲得賞金(5,000ドル以上または未満でカテゴリ変数とした)を手術前後で比較した。術後の獲得賞金カテゴリおよび競走パフォーマンスについて、内視鏡による喉頭蓋の評価とX線による測定値との相関を検定した。
内視鏡およびX線検査はともに喉頭蓋エントラップメントの馬における喉頭蓋の評価に有用であった。
X線検査による甲状軟骨から喉頭蓋の長さの測定値は、どちらの品種も健常馬より喉頭蓋エントラップメント症例馬の方が有意に小さかった(P=0.0001)。データは平均±標準偏差で表すが、サラブレッド症例馬では7.28±0.67cm、健常馬では8.56±0.29cm、スタンダードブレッド症例馬では7.21±0.62cm、健常馬では8.74±0.38cmであった。
また、内視鏡検査で喉頭蓋軟骨の低形成と判断した馬は、正常と判断した馬より有意にX線検査による測定値が小さかった(P<0.0001)。低形成の馬はサラブレッドで6.64±0.60cm、スタンダードブレッドで6.93±0.72cmだったのに対し、正常の馬はサラブレッドで7.57±0.47cm、スタンダードブレッドで7.36±0.50cmであった。内視鏡検査における喉頭蓋の所見は、年齢、性別、品種による有意な違いはなかった。”