COX-2選択的薬剤は、ヒトや小動物領域ですでに広く使用されていて、馬用の製剤も多く発売されてきました。
抗炎症薬がCOX-2選択的であることのメリット、COX非選択的薬剤との比較、その使用に関する決まりについて2017年にまとめられたものがありますので紹介します。
全文はPubmedにて読むことができますので、リンクからご確認ください。
COX-2選択的NSAIDsを使う臨床的な利点
・消化管への副作用が減らせるかは今後研究が必要。
・エンドトキセミアの抑制には有利かもしれない。
・COX-1を温存することで小腸のバリアが保たれ、透過性が亢進せずに済むため、エンドトキシンの血中流入を食い止められる可能性がある。
“COX-2選択的NSAIDsを使用することの臨床的な利点
フィロコキシブはこれまでの非選択的なNSAIDsと同様に跛行や術後の消化管の疼痛のコントロールに効果的であることを知っておくことは価値があるが、COX-2選択的NSAIDsを使用することの主要な利点はCOX-1の活性を守ることで、理論上、これによって特に消化管への副作用がおきる可能性を減らすことである。COX-2選択的NSAIDsで治療することによって、消化管副作用の発生が減るかは、これからの研究で確認する必要がある。しかし、情報に富んだ研究があり、COX-2選択的NSAIDsの内臓痛およびエンドトキセミアをコントロールする効果および実験的に誘導した小腸の絞扼性通過障害の馬における小腸のバリアに対する効果が評価されている。たとえば、十二指腸の虚血性損傷を実験的に誘導した馬における小腸バリアの回復に関する研究では、生体外でのフルニキシンメグルミン投与では回復が阻害されたが、生体外でのエトドラク(馬におけるCOX-2選択的NSAIDs)投与では回復がみられた。前述の研究では、フィロコキシブとフルニキシンを比較していて、フルニキシン投与を受けた十二指腸は、フィロコキシブ投与を受けた十二指腸より、リポ多糖が有意に浸透しやすかった。このことは、COX-1を温存することが疝痛の馬で消化管障害の発生を減らせるという主張を支持するものである。メロキシカムについても、実験的に作成した小腸絞扼性通過障害の馬における結果は同様であった。一方で、非盲目的、ランダム化臨床試験において、小腸の絞扼性通過障害を起こした馬における小腸の浸透性は、フルニキシン(1.1mg/kg,IV,q12h)とメロキシカム(0.6mg/kg,IV,q12h)の間で有意な差はなかった。しかし、この研究で非盲目的であったこと、メロキシカムが通常の使用料で2回投与され、おそらくCOX-2選択性を失っていることは重要な考慮すべき点である。”