“要約
研究を実施した理由
右心室の大きさにおける三尖弁逆流の影響はこれまでに報告されていない。
方法
4つの調教場において、394頭のレースに出走できる状態のナショナルハント用サラブレッド競走馬について、聴診および心エコー検査を行った。聴診での雑音はグレード1-6で評価した。心エコー検査は標準的な方法で、右側からBモードの右室短軸および長軸断面を評価した。Mモードは右心室の三尖弁直下レベルの短軸で評価した。カラーフロードップラーは三尖弁から右心房において行った。もし逆流血がみられたら、その画像を記録した。三尖弁逆流TRの重症度はグレード1-9で分類した。右心室の拡張期および収縮期内径は、長軸および短軸断面において、聴診やカラードップラーの結果を知らない検査者が測定した。日ごとの再現率を確認するため、5頭の馬に対して同じ手技で連続5日間右心室の計測を行った。また、30頭について、保存した画像を別の検査者が測定することで検査者間の再現率も検証した。
結果
カラードップラーによるTRの重症度と、右心室の計測値には有意な正の相関がみられた。対照的に、聴診によるTRの重症度と右心室計測値には相関が見られなかった。右心室の計測は、Mモードによる測定のみが、検査者間および日ごとの再現度において受け入れられる再現性を持っていた。
結論と臨床的関連性
本研究から、右心室の収縮期および拡張期における断面は、カラードップラーによるTRと正の相関が示された。しかし、雑音との間には相関はなかった。”