繫靱帯は、中骨間筋ともよばれ、靱帯と筋肉が入り混じって構成されています。
そのため、超音波やMR画像において、他の県組織のように均一な構造には見えないことが指摘されています。
跛行のない正常な馬の繫靱帯近位部についてのMRIと組織所見を比較した文献があります。
異常を診断するには、まず正常な所見を把握しておく必要があります。
“要約
研究を実施した理由
跛行のない馬の前肢における繫靱帯近位部のMRIおよび組織所見についての詳細はこれまでに記録がない。
目的
1)繫靱帯近位部の詳細な解剖所見を記録すること。
2)腕節および中手近位部の疼痛がない馬の前肢における繫靱帯近位部およびその周囲の構造の高磁場および低磁場のMRI所見を記録すること。
3)年齢、血統、性別、体高および体重とMRI所見の関連を評価すること。
4)繫靱帯近位部の組織所見を記録し、MRI所見と比較すること。
方法
跛行のない馬の解剖体から得た30肢について、繫靱帯近位部の高磁場および低磁場のMRI所見を主観的および客観的に解析した。単変量および多変量線形回帰解析を用いて、年齢、性別、血統、体高および体重とMRI所見の関連を評価した。9肢を用いて繫靱帯近位部の組織所見とMRI所見を主観的に比較した。
結果
繫靱帯近位部のコラーゲン組織は低から中程度の信号強度で、これはパルスシーケンスに依存していた。繫靱帯近位部は、筋肉および脂肪組織について、その量、形状および信号強度に個体間で大きなばらつきがあった。MRIと組織所見の比較から、信号強度が高い領域は脂肪組織、中程度の信号強度の組織は筋肉に対応していた。繫靱帯近位部は内側の束が外側よりも横断面積が小さかった。また、繫靱帯近位部の横断面積は、体高および体重と正の相関があった(P<0.001)。
結論と潜在的関連性
跛行のない馬の繫靱帯近位部のMRI所見には大きなばらつきがあり、このことは跛行している馬のMRI所見を解釈するときに念頭に置いておくべきである。”