よく“シンカン”とひとくくりにされがちな中手近位掌側領域の損傷ですが、MRIで見てみると様々な損傷像が診断できるようになったという報告があります。
このグループは特にこの領域に関してはスペシャリストで、様々な論文を報告しています。
いまやこの部位の詳細な診断には、MRIがゴールドスタンダードだといわれるようにまでなっています。
“要約
研究を実施した理由
跛行している馬の腕節や中手近位領域のMRI所見についての情報は限られている。
目的
腕節または中手近位部に起因する跛行と診断した馬のMRI所見を記録すること。
方法
2003年1月から2010年9月の期間に、Animal Health Trustにて腕節および中手近位領域のMRIを行った馬の臨床記録を回顧的に調査した。全頭のMR画像と、入手可能であればX線、超音波およびシンチグラフィ画像についても評価した。また可能であればMRI所見とその他の画像診断の結果を関連付けた。
結果
50頭の馬で、跛行のある58肢について、72回のMRI検査があり、対象は幅広い使役や年齢の馬であった。最も多く検出された異常は、T1およびT2強調像における、手根骨または中手近位掌側部の信号強度の低下(n=29)であった。9頭で第2および第3中手骨間の骨間靱帯炎(syndesmopathy)がみられた。6頭で第3中手骨の掌側皮質骨に異常が見られた。4肢で第3中手骨掌側皮質骨に連続する繫靱帯の異常がみられた。靱帯とその骨付着部の異常は、第2と第3手根骨間および第2と第3中手骨間において4肢でみられた。
結論と潜在的関連性
MRIにより、幅広い層の馬において従来の画像診断では検出できなかった様々な損傷を診断できた。これまでの研究より損傷のタイプにばらつきが大きかった。”