育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

繫靱帯近位部の低磁場および高磁場MRI所見(Nagyら 2009年)

繫靱帯近位付着部について、いくつかの構造はX線や超音波画像では描出できなかった解剖学的な部位がMRIでは描出できた。

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

“要約

 低磁場MRIにより、中手近位領域の疼痛の原因を調査するための有益な情報が得られるが、組織内の信号強度の違いが意味するところを理解するためには、解剖をより深く理解し、より詳細な画像が得られる高磁場MRIと比較することが不可欠である。

 

 本研究の解剖学的な記述は、30頭の腕節および中手近位領域の疼痛を原因とする跛行の履歴のない成馬の解剖体を用いた、低磁場および高磁場MRI検査によるものである。正常なMRによる解剖を記述し、低磁場および高磁場MRIの横断および縦断像によって得られた像を示した。軟部組織および骨構造について、正常な解剖学的なばらつきを議論した。

 

 低磁場と高磁場もしくは異なるパルスシーケンスで、組織の信号強度や輪郭の鮮明度が異なるものを強調した。いくつかの構造は、X線や超音波画像では容易に描出できないが、低磁場および高磁場MRIでは評価が可能であった。それは、繫靱帯の反軸側の辺縁、中手骨間の骨間靱帯および手根中手間の靱帯である。また、これまで構造がはっきり記述されていなかったものも同定した。”