保存療法よりも治療成績を改善させようと、繋靭帯炎の治療にはさまざまな再生医療が取り組まれています。今回はその一つである胸骨骨髄穿刺液の病巣内投与による治療成績をまとめた研究の紹介です。サラブレッドは17頭で、治療後の復帰率88%、復帰後5走以上した率が71%と高く、コア型損傷であることを考慮すれば優秀な成績ではありますが、術前後の獲得賞金の比較から、パフォーマンスは落ちてしまうようです。
”目的
選抜した前肢の繋靭帯コア型損傷(体部または脚部)に対し、超音波ガイドによる自家骨髄穿刺液の病巣内投与を行った馬の競走成績を評価すること。
デザイン
回顧的コホート研究、13頭のスタンダードブレッド、17頭のサラブレッド
方法
胸骨分節部から採取した自家骨髄穿刺液を、超音波ガイド下で繋靭帯のコア型損傷部(体部または脚部)に投与した。競走成績は術前および術後の比較のために調査した。
結果
13頭のスタンダードブレッドのうち、9頭(69%)が1回以上出走し、9頭(69%)が5回以上出走した。17頭のサラブレッドのうち、15頭(88%)が1回以上出走し、12頭(71%)が5回以上出走した。8頭のスタンダードブレッドは術前後に1回以上出走していた。手術直前の3走と直後の3走の1走あたり賞金を比較すると差は認められなかった。13頭のサラブレッドが手術前後に1走以上していた。手術直前の3走と直後の3走の1走あたり賞金を比較すると、直後の3走の方が少なかった。
結論と臨床的関連性
繋靭帯体部または脚部のコア型損傷は、病巣内の骨髄穿刺液投与により良好な競走復帰の予後が示された。”