MRIで骨の所見を評価することは、X線およびCT検査とは少し違いがあります。X線では評価できない骨の変化や骨の炎症像を検出することができます。しかしその読影は非常に難しいとされています。
種子骨骨折と、それ以外の原因で安楽死処置が行われた競走馬の解剖体に対してMRIで評価を行った文献を紹介します。
この文献では種子骨およびそれに面する第三中手骨遠位掌側のMRI所見をグレード分類しました。骨密度の上昇はやはり種子骨骨折に関わっていそうです。
”目的
立位MRIを用いて解剖体の前肢を撮像し、画像に2つのグレード分類を適用して、骨折馬と非骨折馬の骨の変化を比較すること。デザイン
ケースコントロール研究検体
フロリダの競馬場で安楽殺された74頭のサラブレッド種競走馬で骨折馬21頭、非骨折馬53頭。方法
どちらの群も両前肢を採取し、それぞれ立位MRIで球節領域を撮像した。解析に用いた画像のグレード分類方法は以下の2つであった。
①種子骨の骨密度を算出した。
②第三中手骨の遠位掌側における軟骨下骨プレートの完全性を評価した。
骨折と非骨折の群間でグレードを比較するためにロジスティック回帰解析を用いた。結果
両軸性の種子骨骨折と関連するのは、骨折した肢の種子骨グレードの総計(内・外の合計)が5以上、対側肢の第三中手骨軟骨下骨グレードの総計が5以上、対側肢の第三中手骨における整形外科的疾患の存在であった。結論と臨床的関連性
両軸性骨折の馬では、骨折した種子骨の骨密度は高く、対側肢の第三中手骨に整形外科的疾患のある馬が多かった。両軸性種子骨骨折のリスクをスクリーニングする手段としての立位MRIについてさらなる調査が必要である。”