現在では、喉頭片麻痺(反回喉頭神経症)は進行性の病態であると考えられています。病態が進行する速度や、いつ症状が現れ始める時期は馬によって異なります。順調な競走成績が得られていても、ある日から急激にパフォーマンスを落としてしまう可能性もあるということです。いくつかの発症に関係する要素はわかってきているものの、反回喉頭神経症の進行を完全に予測することはできません。したがって、1歳のセリ時に問題がないレベルと判断された馬であっても、この病気が出てくる可能性はゼロではありません。
今回は現役の競走馬において、運動時の内視鏡検査を経時的に行って、反回喉頭神経症の進行を確認した3例の報告を紹介します。
”症例
上気道を原因とする運動時の異常呼吸音とプアパフォーマンスが原因で検査した競走馬3頭臨床所見
最初の運動時内視鏡検査では、最大強度の運動時において、2頭で披裂軟骨の完全な外転を、1頭で不完全ではあるが十分な外転を認めた。しかしその後の運動時内視鏡検査では3頭すべてで完全な披裂軟骨と声帯の虚脱を認めた。治療と成績
2頭は喉頭形成術を行い競走できた。1頭は引退した。臨床的関連性
特発性の喉頭片麻痺は進行性の病態である。3頭で、左喉頭片麻痺の進行を、連続的な運動時内視鏡検査によって確認した。上気道の機能不全の兆候を示す馬では、運動時内視鏡検査を考慮すべきである。”