1歳セリ時のレポジトリー検査で提出されている安静時の内視鏡検査だけでは、その馬の将来の能力や喉頭機能を予測することは難しいです。では実際のところ、運動時の喉頭機能はどうなっているのでしょうか。今回は、若齢馬において連続的に安静時と運動時の内視鏡検査を行って、喉頭機能を評価した文献を紹介します。
”背景
最初のオーバーグラウンド内視鏡検査(OGE)における上部気道のグレードや外見は、その後の検査とは異なると仮説を立てた。目的
治療を行っていない馬で、同じ運動条件で2回以上OGEを行った馬について、検査結果を比較すること。研究デザイン
後ろ向きコホート研究方法
同じ運動条件で複数回検査し、運動前および運動中のOGEの記録を回顧的に調査した。また1回目と2回目の検査について、所見を統計学的に評価した。検査間で運動および生理学的パラメータについて、対応のあるウィルコクソンの符号順位検定を用いて評価した。検査間で、上部気道異常のグレードや所見の変化の割合について、Z検定を用いて評価した。それぞれの検査における異常所見を認めた馬の割合をマクネマーの検定を用いて比較した。検査間の信頼性はスピアマンの相関係数を用いて評価し、再現性に与える影響は順次ロジスティック解析を用いて評価した。異常所見のばらつきを見るため、ラティスプロットを作成した。結果
78頭の馬(年齢中央値2.4歳)における195回の安静時内視鏡検査、72/78では179回の運動前および運動中のOGEを評価した。検査間隔の中央値は226.5日で、運動および生理学パラメータに有意差はなかった。全ての異常所見において検査間でグレードにばらつきがあり、特に軟口蓋の不安定および安静時の喉頭蓋軟骨のグレードで明らかであった。軟口蓋不安定と安静時の披裂軟骨非対称の所見は、検査間隔と所見のグレード変化に関係がみられた。主な制限
より短期間で、一貫した間隔でOGEの再検査を行っていれば、馬における変化をみることができただろう。異常所見と検査間隔の関係を結論付けるには症例数が十分でない。結論
1回の検査で治療選択を行う時には、ほとんどの上部気道異常所見はOGE検査によってばらつきがあることを考慮すべきである。また術後に他の上部気道異常が起こる可能性もある。”