競走馬には生理的な心雑音が多く聴取されます。しかしなかにはパフォーマンスへの影響が懸念されるものも含まれていて、慎重な評価が必要となります。
しかし、よくみられる弁逆流症には、競走の距離や性質による違いはあるものの、弁逆流症があることによるパフォーマンスへの負の影響は認められませんでした。
“要約
背景
弁逆流症に関連した心雑音は競技馬でよくみられるが、パフォーマンスとの関連はわかっていない。
仮説
弁逆流症は競走パフォーマンスに対して負の影響がある。
動物
562頭の出走できる状態の競走馬(平地競走(1000-2500m)または障害競走(3200-6400m))
方法
聴診とカラーフロー心エコーによる検査を777回行った。聴診で聞こえる雑音またはドップラー検査で評価した弁逆流症の有無および重症度と、公開されていて客観的な競走パフォーマンスの評価との相関を、標準的な回帰解析法を用いて検証した。
結果
心雑音および逆流症の所見率は、競走種別によって有意なばらつきがあり(P<0.02)、2歳以上の障害競走馬で多かった。競走パフォーマンスとの関連は、逆流症および雑音の有無またはグレードによっても一貫したものは認められなかった。雑音はG≧3/6、逆流症はG≧6/9が考慮された。
結論と臨床的重要性
競走種別によって、房室弁および大動脈弁の逆流症および雑音の有無や重症度に明らかな違いが見られた。本研究からは、英国競走馬の指標となるタイムフォームレイティングにて、逆流症および雑音との負の相関はどの競走種別においても認められなかった。”