文献で分かったこと
球節の上の部分にあたる、第三中手骨または第三中足骨の疲労性傷害は、平均3歳の競走馬に発生しやすく、オスのほうがメスより多いことがわかりました。
95%が診断後に出走することができ、診断から出走までの期間は平均200日程度でした。競走復帰後にクラスが変わらないか上がった馬が69%で、パフォーマンスへの明らかな影響はなさそうです。
目的
第三中手または中足骨遠位の疲労性骨傷害の馬について、診断的特徴、自由に選択できる運動管理、予後および発症後の競走パフォーマンスを評価すること。
デザイン
回顧的症例集
方法
シグナルメント、経過、X線、シンチグラフィおよび歩様検査の所見について回顧的に調査した。第三中手または中足骨遠位を原因部位とする跛行で、併発する跛行がなく、X線および核シンチグラフィ検査で疲労性骨傷害の所見がある馬を組み入れた。競走記録から発症前後の競走パフォーマンスの情報を得た。
結果
症例の年齢は平均3.2歳、中央値3歳(2-6歳)。95%(52/55頭)は診断後に出走した。オスの割合(75%:41/55)がメス(25%:14/55)より多く、オッズ比は3.99(95%信頼区間2.17-7.34)であった。発症前後の総獲得賞金には有意差はなかったが、発症後は出走回数は多かったものの、出走あたりの獲得賞金は少なかった。発症から出走までの期間の平均は194日であった。発症前後で出走していた45頭のうち、31%(14/45)は競走のクラスが上がり、31%(14/45)は同じクラス、38%(17/45)はクラスが下がった。
結論と臨床的関連性
第三中手または中足骨遠位部の疲労性傷害を発症したサラブレッド競走馬を自由な運動で管理した場合、競走のクラスやパフォーマンスに明らかな変化がないことへの予後は良好である。