サラブレッドだけでなく、スタンダードブレッド競走馬にも胃潰瘍はよくみられることが報告されています。
文献のハイライト
調教しているスタンダードブレッド競走馬では、胃潰瘍の所見率が87%と非常に高いことがわかりました。
年齢別にみると、2歳馬のほとんどは軽度の胃潰瘍であったのに対し、3歳以上の馬では5~8割が深部潰瘍を含む重度の潰瘍病変を持っていることがわかりました。
性別による所見率に差はないものの、去勢オスでは年齢が高いとリスクが上昇することも示されました。
参考文献
目的
調教中のスタンダードブレッド競走馬において、年齢、性別、内科治療と胃潰瘍の所見率および重症度の関連を明らかにすること。
デザイン
横断的研究
動物
調教中のスタンダードブレッド競走馬224頭
方法
それぞれの馬で胃内視鏡検査を行い、無腺部潰瘍の所見をG0(正常な粘膜で病変なし)からG3(ひどく、癒合していることが多く、深い潰瘍病変を伴う) にグレード分類した。年齢、性別、治療、胃潰瘍の所見率と重症度との関連を評価した。
結果
胃潰瘍の所見率は87%であった。年齢と胃潰瘍の所見率に関連はほとんどなかったが、年齢と重症度には関連があった。ほとんどの2歳馬(57.7%)は、G0または1であった。他の年齢では、58-82.61%とほとんどがG2または3であった。性別による所見率は同等であったが、去勢オスでは比較的リスクが高く、メスや未去勢オスはリスクが低かった。
結論と臨床的関連性
調教しているスタンダードブレッド種では、胃潰瘍が一般的にみられた。3歳以上の馬は2歳よりも重症度が高かった。去勢オスでは年齢が上がるにつれて相対的なリスクは増加した。