育成馬臨床医のメモ帳

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飛節OCDに対する関節鏡手術の結果(Mcllwraithら1991)

飛節のOCD

下腿足根関節(飛節)のOCD好発部位は、脛骨中間稜、脛骨内果、距骨滑車などが挙げられます。

OCDは骨軟骨形成過程で異常が起き、離断してしまった骨軟骨片をさします。OCDは関節腫脹と関連することがあり、関節炎が持続すると跛行の原因となることもあります。

飛節のOCDを関節鏡手術で除去したところ、その後のパフォーマンスは良好であり、関節液の増量は多くの馬で解消されたことが明らかとなっています。

 

参考文献

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

225頭の318の下腿足根関節のOCD治療のための関節鏡手術の成績および術式を報告する。225頭のうち154頭は競走馬または競走用に調教していた馬であった。関節鏡手術は下腿足根関節のOCDに対して有効な治療方法であった。全体的に、機能面でも外貌の面でも非常に良好であった。183頭で術後の追跡情報が得られ、140頭(76.5%)は出走したか、意図したパフォーマンスが得られた。残りの43頭は、11頭は下腿足根関節の問題が持続し、19頭は他の原因でパフォーマンスができなかった。8頭は跛行がなかったがパフォーマンスが悪く、3頭は感染性関節炎により安楽死、2頭は他の原因で死亡した。年齢、性別、患肢は成績に明らかな影響はなかった。中間稜の病変の大きさは予後に影響はなかったが、関節軟骨に変性性変化や潰瘍がみられると予後は有意に悪くなった。追跡調査において、競走馬の131関節中117関節(89.3%)は関節液増量が解消し、非競走馬の86関節中64関節(74.4%)の関節液増量が解消していた。脛骨中間稜と比較して、距骨外側滑車および脛骨内果の病変は、関節液増量の解消という成績に関しては悪かった。関節液増量の解消と競走パフォーマンスの良さとは関係がなかった。

 

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