調査で分かったこと
飛節のOCDのなかでも最も多く見つかる脛骨中間稜のOCDについて、臨床的な所見や滑膜の病理組織所見との関連を評価した調査があります。
症状を示さないOCDも多くありますが、関節腫脹を伴うOCDの症例では、病理組織学的に滑膜の細胞増殖や炎症細胞浸潤スコアと関連していることが示されました。しかしながら、跛行との有意な関連は示されませんでした。
参考文献
目的
OCDのある馬の下腿足根関節滑膜の病理組織学的変化のスコアリングシステムを構築し、病理組織学変化と関節腫脹および跛行との関連を検証すること。
動物
93頭の馬の脛骨中間稜のOCDのある1つ以上の下腿足根関節(合計で134関節)と、疾患のない下腿足根関節38関節
方法
OCDのある馬について、治療前の跛行、下腿足根関節の腫脹、後肢の屈曲試験のスコアを記録した。滑膜生検の採材は、OCD発症馬の下腿足根関節から関節鏡手術時に行った。コントロールの馬からは、小さく関節切開して死後に滑膜組織を採取した。172の滑膜検体は2人の病理医が2つの基準(滑膜細胞の増殖と細胞浸潤)で評価した。
結果
スコアリングの解析から、評価者間の一致は病理医Aで良好から非常に良好(WK0.76-0.81)、病理医Bで中間から良好な一致(WK0.56-0.63)であった。滑膜細胞増殖および細胞浸潤のスコアの評価者間の一致はそれぞれWK0.34-0.52、WK0.38-0.48で、五分から中程度であった。関節腫脹と滑膜細胞増殖には有意な関連があり、関節腫脹と細胞浸潤も同様であった。病理組織学的変化と他の臨床所見には関連がなかった。
結論と臨床的関連性
馬において脛骨中間稜のOCDによる滑膜炎の評価においてスコアリングシステムは有用であった。滑膜炎の病理組織学的所見と関節腫脹は関連していたが、跛行とは関連がなかった。