調査で分かったこと
脛骨内果の病変検出は難しく、関節面を完全に評価することが難しいことが原因と思われます。骨の形状から、まったく骨を重ならないように撮影することが難しく、また限局した病変はわずかな関節表面の変化のみで、X線検査では検出できないことがあります。
この調査では、飛節の30度背外底内斜位像を用いることで、脛骨内果の病変の診断感度は71%でした。一方で超音波検査を用いた場合の診断感度は83%でした。
X線検査によるスクリーニングで明らかな病変が認められなかった場合には、超音波検査で関節面を評価することでOCDなどの病変が検出できるかもしれません。
参考文献
研究を実施した理由
脛骨内果の病変をX線検査で描出することは難しい。超音波検査では関節軟骨や軟骨下骨の評価が可能である。
目的
背外底内30度および45度斜位像で脛骨内果の病変が検出できるか比較すること、下腿足根関節内の病変を超音波検査で検出することの妥当性を示し、診断感度をX線検査と比較すること。
方法
OCDのある111の下腿足根関節に対して、関節鏡による病変掻爬の前に超音波およびX線検査を行った。X線検査はひととおり行い、それぞれの病変について最適な像を記録した。超音波検査は、関節面背側面の横断および縦断像を評価し、病変ごとの最も適した断面を記録した。
結果
脛骨中間稜の病変は94関節、脛骨内果の病変は24関節、距骨外側滑車の病変は4関節にみられた。X線検査による診断感度は、脛骨中間稜96%、脛骨内果71%であった。脛骨内果の病変の82%は、30度斜位像のほうがよく評価できた。超音波検査による病変の診断感度は、脛骨中間稜98%、脛骨内果83%であった。脛骨中間稜および脛骨内果の病変において、超音波検査はX線検査よりも診断感度が有意に高かった。
結論
脛骨内果の病変を検出するには30度背外底内像が優れていた。下腿足根関節内の病変を診断するツールとして超音波検査は有用で、脛骨内果および中間稜の病変においてはX線検査よりも診断感度が優れていた。
臨床的関連性
脛骨内果の病変検出には30度背外底内斜位像を含めたX線検査をするべきである。下腿足根関節のOCD診断には超音波検査を考慮すべきである。