高磁場MRIによって、軟骨や骨を含む関節の詳細な評価が可能である。
“要約
遠位足根部および近位中足部の損傷は主な跛行の原因である。MRIにより、遠位足根関節と繫靱帯起始部の損傷併発の評価が可能で、他の診断モダリティでは検出できない損傷を同定する助けとなる。
本研究は回顧的観察研究である。
2012-2014年の期間で、遠位足根部および近位中足部のMRI検査について、医療記録を調査した。103頭の125肢について、獣医画像診断の専門医2名が回顧的に評価した。軟部組織および骨の変化の特徴と重症度のグレード分類を記録した。症例のシグナルメント、跛行の重症度、診断麻酔の結果を記録した。
遠位足根間関節および足根中足関節の骨関節炎所見が最も多くみられた所見であった。骨髄の損傷、足根骨の変性性変化、軟骨下骨のシスト状損傷および足根骨間の靱帯炎がみられた。繫靱帯炎は53%の患肢でみられた。近位繫靱帯の診断麻酔に反応した患肢のうち47%でより重度の遠位足根間関節損傷を認めた。跛行グレードが記録されている馬において、第三足根骨の骨髄炎は跛行グレードとの相関が唯一認められたMRI所見であった。跛行グレードは、MRIにおける損傷の重症度との相関に乏しかった。
本研究の結果は、特に診断麻酔で損傷局所を同定することが難しい場合、近位中足部および遠位足根部を同時に評価するためにMRIを用いることを支持する。”