本日紹介する文献は、繫靱帯脚部損傷に対する新たな治療法です。ヒト医療では少しずつ症例が報告されてきている、腱や靱帯の骨付着部に対する超音波デブリード法を馬でもやってみた、という1例の報告です。難治性の繫靱帯脚炎で今後の治療オプションとなるか注目です。
Ultrasonic debridement with stem cell therapy of suspensory branch desmitis in an equine patient.
Srinath Kamineni Alan Ruggles Hamza Ashfaq
Open Vet J. 2019 Vol.9(1):54-57.
”馬における繫靱帯脚炎に対して幹細胞治療を組み合わせた超音波デブリード法
要約
腱および靱帯の超音波デブリードは整形外科手術において比較的新しい手技である。これまでに症例は少なく、この手技は靱帯と骨もしくは腱と骨の付着部損傷に用いる。繫靱帯脚部に対して保存療法を行ったものの、症状が持続し調教できなかった2歳オスのサラブレッド種馬の症例を対象とした。超音波検査で検出できる損傷に対して、超音波デブリードと胸骨由来の自家幹細胞移植を行った。術後は早期に回復し、16週間で運動を再開でき、いくつかの競走で優勝した。繰り返しの超音波検査で、骨付着部の靱帯の線維構造は完全な修復を確認した。3年間のフォローアップ期間で、再損傷することなく一貫した調教とレースパフォーマンスを出せた。本研究は馬の靱帯炎において、超音波デブリードと幹細胞治療を組み合わせて成功した初めての報告である。”
なかなか面白いテーマですし、ヒト医療の先端技術を動物でもやってみる、というのは大学ならでは非常に興味深いと思います。
他の分野の先生とディスカッションできると視野がとても広がりますね。まず自分が理解できる領域を増やす努力が大事ですが。。。