はじめに
近位種子骨軸側の骨炎は感染性と無菌性に発生します。感染性の場合は穿孔性の外傷やフレグモーネなどにより汚染されたことが原因となります。一方で無菌性の場合は、内外の種子骨軸側を繋ぐ靭帯(掌側または底側靭帯)の損傷と関連していることが想定されます。いずれにしても、跛行の原因としてはやっかいなものです。
文献でわかったこと
近位種子骨軸側骨炎の特徴的所見は、X線検査で種子骨軸側の骨融解像です。しかし、これはある程度病態が進行してから見られる所見であり、超音波、シンチグラフィ、CT、MRIなど他の画像診断モダリティを用いることで、早期発見および詳細な病態の評価が可能か検討されています。
ベルギーからの報告で、症例は温血種などの乗用馬がメインです。後肢に発生が多く、跛行はG4/5が多く、球節局所の症状を伴わない馬もいました。
症例は全てX線検査で骨融解像がみられ、内外両方に融解像がみられることがほとんどでした。超音波検査では掌側/底側靭帯のエコー輝度の不均一、肥厚、骨付着部の粗造が検出できたほか、CT検査では病変は大きく描出され、造影検査では靭帯に強く乗ることが示されました。X線検査による骨融解像は全体の病態を過小評価しているかもしれません。
骨融解の程度と跛行の持続期間には関連が認められませんでした。