育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

さまざまな用途の馬の蹄骨骨折285頭と223頭の長期経過(Rijkenhuizenら 2012年)

蹄骨骨折にはさまざまな型があります。 単純な骨折でも、蹄関節におよぶ骨折は癒合することが難しいだけでなく、二次的な骨関節炎を起こす可能性が高く、跛行が持続してしまうことも多くあります。 ここでは、成馬になってから骨折した、さまざまな馬の異な…

馬の炎症性腸疾患【IBD】

人における炎症性腸疾患は、特定疾患に指定されている(いわゆる難病指定されている)潰瘍性大腸炎やクローン病に代表される腸に炎症を起こす疾患です。 近年、遺伝、環境、腸内細菌群など、さまざまな要素が関わっていることが判明してきましたが、その正確…

第三中手または中足骨遠位の疲労性傷害後の競走馬としての予後(Tullら 2011年)

文献で分かったこと 球節の上の部分にあたる、第三中手骨または第三中足骨の疲労性傷害は、平均3歳の競走馬に発生しやすく、オスのほうがメスより多いことがわかりました。 95%が診断後に出走することができ、診断から出走までの期間は平均200日程度でした…

楔状の第三足根骨は盤状骨折発症と関連する(Bairdら 2001年)

第三足根骨の盤状骨折は、主に競走馬にみられる骨折のタイプです。 この骨折には、なりやすい骨の形状があることが文献で示唆されています。購買前検査(レポジトリー)などで発見した場合、将来的に骨折につながる懸念があることは認識しておくべきです。 /…

足根骨診断のための画像診断の比較(Danielら 2012年)

馬の臨床においてもMRIは関節や骨の状態を評価するのに有用であることが示されています。 飛節においてもこれは同様で、他の画像診断よりも詳細な評価が可能で、病的な所見を検出するのに優れています。 特に骨折の診断では通常の4方向のX線検査では検出でき…

第三足根骨盤状骨折の治療5例(Lindsayら 1982年)

飛節を構成する第三足根骨の盤状骨折に関する治療報告は数報あります。 古い報告では、スクリューによる外科的な整復を行った2頭は競走復帰できたが、保存療法をとった3頭は、長期的な休養にもかかわらず骨関節炎が進行して跛行が残り、調教復帰がかなわなか…

競走用でない馬の中心足根骨骨折の形状と術後長期予後(Gunstら 2016年)

競走以外の目的で使用されている馬にも足根骨骨折が発症することが知られています。 今回紹介する文献では、乗用の馬でも、CT画像をもとにした理想的な内固定術を行うことで、跛行なくもとの運動や競技に復帰できることが示されています。 足根関節の骨棘や…

非競走馬での中心足根骨骨折4例(Knuchellら 2016年)

中心足根骨の骨折は、第三足根骨に比べるとまれな骨折です。 特に非競走馬ではまれな骨折ですが、これは単純X線検査でも十分に診断可能で、底外-背内方向(斜め外側から)で少しずつ角度をずらしながら撮影することで診断可能です。 // 参考文献 pubmed.ncbi…

馬の中心および第三足根骨骨折(Tulamoら 1983年)

少し古い文献にはなりますが、足根骨盤状骨折が内科療法では競走復帰が難しいことが示されています。 スタンダードブレッドとサラブレッドの競走馬11頭でみられた調教またはレース中の骨折で、長期休養のみでは運動復帰がかなわなかったと報告されています。…

足根骨骨折を保存的に管理した25例の長期成績(Murpheyら 2000年)

飛節構成骨である足根骨は、近位-遠位方向の体重による負荷を受け、盤状に骨折します。 大きな骨片は内固定術を行うことが推奨されていて、競走中により大きな負荷がかかると想定されるサラブレッドでは、保存療法では競走復帰の率が低いことが知られていま…