育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

スタンダードブレッド競走馬における上腕骨のリモデリングと疲労骨折(Krausら2005年)

上腕骨のリモデリングや疲労骨折は、致命的で重篤な骨折に繋がる可能性があります。 若齢の馬において、これらの変化が起きやすいことが知られています。 スタンダードブレッド競走馬においても、上腕骨疲労骨折は未出走の馬で発生しやすいことが分かりまし…

腕節掌側の骨折10頭(WilkeらJAVMA2001)

全身麻酔からの覚醒後に跛行し、橈側手根骨掌側の骨片骨折が判明した症例が大部分を占めたこの調査では、保存療法では復帰できず、関節鏡手術でも元通りの運動に復帰することは難しかった。 通常の運動によって発症する骨折とは性質が違うのかもしれない。背…

第一指(趾)骨掌側/底側の軸側骨片に対する関節鏡視下除去手術119頭(Fortierら1995)

第一指(趾)骨の掌側または底側の軸側にみられる骨軟骨片は、近年のレポジトリ検査の普及により、若齢馬で多く見つかっています。 第一指(趾)骨の近位掌側は、軸側よりに十字種子骨靭帯、反軸側に短種子骨靭帯が付着し、さらに反軸側に関節および種子骨の…

カリフォルニアの競走馬における脛骨完全骨折の特徴(Samolら2021年)

競走馬の脛骨骨折は、ほとんどが粉砕骨折で、内固定による整復や支持を行うことが困難で予後不良と判断されるケースが非常に多い骨折です。 この骨折部位は、疲労骨折もよく発生することが知られています。疲労骨折の特徴は、競走馬としてキャリアの浅い、デ…

近位指節間関節後面の骨軟骨片の関節鏡下摘出4頭(Radcliffeら2008)

近位指節間関節は、第一指骨と第二指骨の関節で、繫関節とも呼ばれます。 掌側には、反軸側には浅屈腱が付着し、軸側には掌側靱帯などが付着しています。また、第一指骨側に関節包が大きく付着しています。 この関節内の骨片は跛行の原因となることがあり、…

橈側手根骨遠位の軟骨下骨透過像に関連するX線と関節鏡所見(Dabareinerら1996)

腕節構成骨は、激しい運動による軟骨および骨への損傷が蓄積することで骨折が起こります。 しかし、必ずしも大きな骨片骨折や盤状骨折が起きるわけではなく、軟骨や軟骨下骨への損傷がわずかな骨片骨折や軟骨破片となることがあります。 特に橈側手根骨や第…

第三中手骨遠位掌側の疲労骨折(Shanら2021年)

ひどい捻挫か?球節炎か?と思うような症例のなかには、第三中手骨遠位掌側における横方向の疲労骨折が発生している可能性があります。 関連する過去記事はこちら equine-reports.work (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); この疾患は、初診…

スタンダードブレッド競走馬における第三手根骨軟骨下骨透過像(Rossら1989)

第三手根骨のスカイビュー像における骨硬化と透過像について評価した文献。 選ばれた症例は、手根中央関節を原因とする急性跛行を呈したスタンダードブレッド競走馬。 関節鏡視下での評価が行われ、骨折へと進行する病態があることがわかった。必要であれば…

近位足根間関節の骨軟骨片に対する関節鏡視下除去手術(Espinosa-Murら2018)

飛節のうち、近位足根間関節に見つかる骨片の臨床的意義は依然として不明ですが、関節鏡手術によって除去できることが報告されています。 この骨軟骨片があることが関節炎の原因となるかは不明ですので、必ず骨片を摘出する必要があるとはいえませんが、最小…

馬胃潰瘍の治療における2つの用量の比較(Sykesら2014)

現在、馬胃潰瘍症候群に対する薬物治療の主軸を担うのは、胃酸分泌抑制効果を持つオメプラゾール(商品名ではガストロガードなど)です。 この薬剤による胃酸分泌抑制効果は、低用量でも確認されていて、予防的な効果を期待して低用量投与がなされることもあ…