育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

飛節のOCD術後のスタンダードブレッドとサラブレッド競走馬の術後パフォーマンス(Beardら1994)

調査で分かったこと 米国サラブレッドにおける調査では、競馬に出走する前の2歳までに飛節OCDが検出され、関節鏡手術により除去手術を行った症例は、2歳時までに43%、3歳時までに78%が出走しており、その母系兄弟と出走率に差はありませんでした。 (adsbyg…

馬の大動脈弁閉鎖不全の心エコー検査による評価(Reefら1987年)

調査で分かったこと 大動脈弁の逆流がある症例では、心エコー検査において左心室拡大、大動脈径拡大、左室内径短縮率(FS)の増大が確認されました。 聴診において大動脈弁領域と心尖部で聞こえる全拡張期のデクレッシェンド型雑音は、大動脈弁閉鎖不全症の診…

腕節骨片を関節鏡で除去したサラブレッドとクォーターホースの10年間の調査(Grahamら2020)

調査で分かったこと 腕節の骨片骨折を発症し、関節鏡により除去した症例についての回顧的調査。この術式が報告されてから長らく治療成績をまとめた報告はありませんでした。 2020年にサラブレッドとクォーターホースの競走馬について治療成績が報告されまし…

蹄骨伸筋突起の関節鏡視下掻爬術の長期成績13症例(Croweら2010)

蹄骨伸筋突起の骨折は、外傷(外力)または過伸展が原因と考えられますが、急性期に気づかれることは少ないとされています。特に成長期に発生した骨折は、症状が軽度なため気づかれにくく、慢性の病態として蹄冠部の腫脹や蹄角質の異常がみられ、X線検査で発…

第三中手骨遠位掌側の疲労骨折:診断は難しいが予後は良い(Shanら2022)

球節の少し上、第三中手骨の遠位掌側には横方向の疲労骨折が発生することがあります。この骨折は程度が様々な跛行を呈し、球節の捻挫のような軟部組織の腫脹を伴うことが多いですが、他の疲労骨折と同様に初診時のX線検査では明瞭な病変が検出できないことが…

馬の脛骨疲労骨折に対するシンチグラフィグレード分類の適用42症例(Ramzanら2003)

疲労骨折 ヒト医療では、スポーツ選手や部活をしている学生におきやすいとされている脛骨疲労骨折ですが、馬でも発生することがあることはこれまでに触れてきたとおりです。 脛骨疲労骨折の好発部位 日本整形外科学会より 「疲労骨折」|日本整形外科学会 症…

サラブレッド競走馬の脛骨疲労骨折におけるシンチグラフィ検査の定量的解析(Valdes-Martinezら2008)

調査で分かったこと 脛骨疲労骨折の診断・検出に優れている核シンチグラフィですが、これは骨代謝および炎症が活発な部位に放射性医薬品の取り込みが増加することを利用しています。 取り込まれる放射性医薬品を定量的に評価するため、関心領域内の画像ピク…

馬の半月板シストに対する関節鏡治療(Sparksら2011)

調査でわかったこと 大腿下腿関節を原因とする跛行のうち、半月板のシストはまれな疾患です。 診断は、関節内麻酔により膝関節による跛行と確定してから、関節鏡によって評価することにより可能になりますが、膝関節のOCD治療時に偶発的に発見された症例も報…

飛節のオカルト軟骨下骨シスト状病変(Garcia-Lopezら2004)

文献でわかったこと 飛節を構成する骨には、感染に関連してシスト状病変が形成されることがごくまれにあります。この病変はルーティンなX線検査では検出することができず、そのため表題の通り「オカルト」と表現されているようですが、シンチグラフィ検査で…

大腿骨外側滑車骨軟骨症の関節鏡手術成績37例(UpRichardら2013)

OCD

購買前のレポジトリ検査などで膝関節に認められる病変のひとつに、大腿骨外側滑車の骨軟骨症があります。これは症状を示さない場合もありますが、跛行やプアパフォーマンスの原因になりうる疾患です。 外科的に掻爬することで、術後にパフォーマンスを発揮で…