飛節のなかでも中心遠位関節はX線透過性の不均一な所見が見られることが多く、これがアクティブな炎症として跛行の原因となるかが関心事です。
“要約
研究を実施した理由
遠位足根関節の痛みがある馬とない馬での、中心遠位関節の骨間靱帯領域のX線検査所見の詳細な記述はこれまでにない。
目的
中心遠位関節の骨間靱帯領域の正常なX線所見を記述すること。骨間靱帯の石灰沈着および骨化所見の率を明らかにすること。骨間周囲の異常所見および併発している異常所見を記述すること。骨間靱帯領域の異常と中心遠位関節の骨関節炎所見との相関を評価すること。
研究デザイン
回顧的調査
方法
7年間で両方または片方の飛節にX線検査を行った馬またはポニー700頭について、医療記録とX線画像を回顧した。症例の病歴、体高、体重および跛行の原因を記録した。中心遠位関節の骨間靱帯領域の異常と相関する要素はロジスティック回帰解析を用いて評価した。
結果
正常な骨間領域は、楕円や円形の透過性領域で、近位と遠位の辺縁は均一なX線不透過性と厚みがあり、その厚みは動物によってばらつきがあった。跛行している肢での骨間靱帯領域の異常は121/700(17.3%;95%信頼区間14.5-20.1%)で明らかであった。体重が増加すると、骨間靱帯領域の異常のオッズは下がった。中心遠位関節の骨関節炎所見は47頭(6.7%;95%信頼区間4.9-8.6%)であった。骨間靱帯領域の異常がある馬の多く(36.4%)は中心遠位関節の骨関節炎所見があり、骨間靱帯領域が正常だった馬(0.5%)と比較して多かった(P<0.001)。骨間靱帯領域の異常所見と中心遠位関節の骨関節炎所見は必ずしも遠位足根関節の痛みと相関はなかった。
結論
中心遠位関節の骨間靱帯領域の異常と骨関節炎には相関があった。X線検査で中心遠位関節の骨間靱帯領域の異常所見が単独または骨関節炎と関連してみられても、症状を示さない可能性がある。”