その① はじめに
その② 調査の内容
その③ 成績
その④ 考察前半
考察
手術手技について
MartinとHerthelらが1992年に報告した4.5mmハーバートスクリューによる整復方法があるが、筆者らは血管を傷つけるリスクがあるため推奨しない。背側を露出すれば整復が容易となる。ヘッドがないため抜去するのに侵襲が過剰となる。したがって4.5mmAO有穴スクリューを推奨する。
有穴スクリューは骨の曲面や中心部および底側に骨折線があるときに有効である。このような症例では関節内にドリルを貫通させずに固定するのが難しく、これが中心足根骨底側の骨折2頭の結果に影響した可能性がある。最近ではこのようなタイプには3.5mmスクリューを用いている。
スクリューの抜去について
スクリューの抜去は珍しいことではない。第三指骨(蹄骨)、足根骨盤状骨折、種子骨骨折では、予防的にもしくは強調教を再開して痛みが出たときに抜去している。インプラントの硬さが骨と合わないことで痛みが生じると筆者らは考えている。印象ではインプラントを抜去したほうが競走復帰率は高い。インプラントの抜去後、6週間で軽い、12週間で速い運動を再開する。
手術関連合併症について
切開創の近位側で、下腿足根関節を切開してしまっても問題は無いようである。関節包は非常に薄く、識別できず、軟部組織が入り組んでいる。これは中心足根骨背側の骨折でより内側からアプローチする場合には避けられない合併症である。
保存療法との比較と術後リハビリについて
中心および第三足根骨の盤状骨折を保存療法で管理することは、運動能力を回復するという点においては満足いくものではない。過去の報告では、保存療法で受け入れられるレベルのパフォーマンスができた症例は3/13頭で、運動復帰までに12-18ヵ月かかっており、本研究の内固定症例の2倍の期間であった。
内固定では、リハビリ期間は予期しやすく、ほとんどの症例は術後6ヵ月で調教再開できた。そしてほとんどが運動能力は回復し、競走成績もよかった。
まとめ
中心および第三足根骨の急性骨折において、内固定術は治療選択肢となる。内固定により見通しが立ち能力が発揮できる。