育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

腕節の内側側副靱帯損傷(Quineyら 2020)

関節の側副靱帯は、内外方向の安定性を保つ構造です。これが損傷してしまった場合、重度の跛行を呈し、場合によっては運動復帰が難しいことも多いです。

また、関節の安定化が得られるまで、長期間の運動制限が必要となります。

馬術競技馬の腕節側副靱帯損傷に対し、休養・制限した運動・レーザー治療を行い、運動復帰が可能であった2頭の症例報告があります。

 

文献

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 この症例報告は、腕節の内側側副靱帯損傷を認めた2頭の管理がうまくいったことを報告するものである。側副靱帯損傷は前肢跛行の原因としてはほとんどなく、報告があるなかでは、保存的管理では運動復帰の予後は悪い。症例馬はどちらも舎飼い休養、制限された運動、高出力レーザー治療によって治療した。どちらも以前の運動に復帰でき、1頭はグランプリクラスの馬場馬術、もう1頭は初級レベルの総合馬術に復帰した。適切な管理ができれば、腕節の側副靱帯損傷の予後は良好となる可能性がある。本研究からは、リハビリプログラムだけでなく、高出力レーザー治療を取り入れることで予後が改善されたかは不明である。