育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

競走馬の重篤な骨折と先行する損傷の分類と記録(Stover 2017年)

Stover先生は、重篤な骨折に先行する損傷(前駆病変)があることに注目し、さまざまな調査を行い文献にされています。 equine-reports.work equine-reports.work equine-reports.work equine-reports.work equine-reports.work equine-reports.work equine-r…

後肢近位趾節間関節の骨片摘出術3頭(Schneiderら1994)

後肢近位指節関節に骨片骨折と、それに関連した関節の腫脹と跛行がみられた症例に対して、関節鏡手術により骨片摘出を行った症例報告。これによると、3頭中2頭は問題なく競走復帰できました。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 3頭の馬(2頭のスタンダードブレッドと…

大腿骨第三転子の骨折8頭(Bertoniら2013年)

大腿骨第三転子の骨折は、後肢跛行で近位部の損傷を疑う場合の鑑別診断のひとつとなる。 超音波検査で8/8が診断できた。3/3は頭外-尾内25度斜位(斜め前25度)からのX線撮影で離断した骨片を描出できた。骨折部には7/8で骨付着部症(Enthsopathy)がみられた…

外掌側手根骨間靱帯の剥離骨折の所見率と外科治療への反応(Beinlichら2005)

はじめに 文献で分かったこと はじめに 馬の手根関節掌側にある靭帯は、主に内掌側手根骨間靭帯と、外掌側手根骨間靭帯があります。 内掌側靭帯は損傷や裂離骨折が多く報告されています。この靭帯は、橈側手根骨遠位外側面に起始し、第三手根骨近位掌内側と…

大腿骨第三転子の異常所見20頭(Shields 2015年)

大腿骨外側面に位置する第三転子は、浅臀筋、大腿筋膜張筋、大腿方形筋などが付着する部位で、主に外傷(外力)によって骨折することが多いと考えられていて、原因の多くは点頭や馬房、扉、ゲートなどにぶつかることが挙げられています。 完全に骨片が離断し…

外掌側手根骨間靱帯の剝離骨折の特徴とX線所見(Beinlichら2004)

尺側手根骨には、骨片様の像が見られることがあります。背外-掌内斜位像は、レポジトリ検査やルーチンなX線検査でも撮影される像ですが、これにより骨片の形状がよく評価できます。また、背掌側像では骨片がどの位置にあるか把握する助けとなります。 手根骨…

手根骨間靱帯損傷の重症度と所見率(KannegieterらAVJ1993)

手根骨間靱帯の損傷は、関節鏡視下で確認できるようになりました。 この疾患は、超音波検査やX線検査では診断することが難しいです。靱帯付着部の裂離骨折ではX線検査で骨片が写ることがあります。 関節鏡手術では41%の関節において、軽度から重度の手根骨…

第三中手骨背側皮質骨の斜矢状方向の不完全骨折(Wattら1998年)

若齢競走馬では、様々な形状の疲労骨折が発生する可能性があります。 管骨の疲労骨折は、X線側方像でよく診断される背側皮質骨の斜め方向の罅裂骨折が一般的ですが、まれにX線掌背側方向(正面像)の撮影で診断できる斜め矢状方向への骨折も発生するようです…

腕節掌側の骨軟骨片に対する関節鏡視下骨片摘出25頭(Langら2015)

腕節掌側の骨折は、前腕手根関節に最も発生していた。橈側手根骨近位関節面に最も多く、次に副手根骨に発生していた。関節鏡視下で除去することが可能で、多くの症例が術後に跛行が見られず意図した運動に復帰することができた。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 目…

競走馬の腕節掌側骨片31例(GetmanらJAVMA2006)

腕節掌側に小さな塵のように見える骨片は、掌側の骨体に由来するよりもむしろ、関節全体の損傷程度を示唆する所見である可能性がある。 手根骨掌側には手根骨間靭帯などが付着していて、関節を安定化させる作用がある。この付着部で裂離骨折する場合、より大…