育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

肩甲上腕関節の骨軟骨症32例(Jennerら2008)

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 目的 馬の肩関節における骨軟骨症に対する外科または保存療法の成績を回顧すること。 方法 2歳未満で肩甲上腕関節に骨軟骨症があると診断した32頭についての回顧的調査。病変の重症度は内外方向のX線画像における計測に基づいた。追…

非競走馬におけるP1短矢状骨折に対する螺子固定による骨接合術の長期成績(Brynerら2020)

先日紹介した乗用馬におけるP1の短矢状骨折の治療成績においては、外科的な治療を選択することで運動復帰できる可能性があることが示唆されました。 equine-reports.work 2020年に発表された温血種を主とする乗用馬の治療成績の報告では、31頭中27頭がもとの…

競走用でない馬のP1短矢状骨折(Kuemmerleら2008年)

球節を構成する第一指(趾)骨(P1)における矢状骨折は競走馬に多く発生しますが、乗用馬にも発生することがあります。 なかでも短い矢状骨折については、軟骨下骨の骨硬化やシスト状病変を伴うことがあることがあることが報告されています。保存療法では跛…

球節背側骨片骨折に対する非外科と外科処置の競走成績(Ramzanら2020)

背景とはじめに 調査でわかったこと 参考文献 背景とはじめに 球節背側の骨片は、1回の大きな負荷もしくは慢性的な繰り返し負荷によるリモデリングから二次的に発生する可能性があります。 この骨片に対する治療は、外科的に摘出する方法とその成績が報告さ…

球節の骨片骨折に対する非外科と外科的処置(Ramzanら2020)

背景とはじめに 球節背側の骨片は、前肢でP1背内側に最も発生しやすく、偶発所見の場合もあれば、関節腫脹や跛行を伴うこともあります。1回の大きな負荷もしくは慢性的な繰り返し負荷によるリモデリングから二次的に発生する可能性があります。 この骨片に対…

調教中の若いサラブレッドの関節損傷リスクは運動に影響される(Reedら2013)

英国の競走馬における調査では、ある程度の頻度でキャンター調教を行えている馬は腕節や球節の損傷リスクが低くなる一方で、高速調教の距離が増えると画像診断で明らかな骨折や関節損傷を示す像が得られるリスクが増加するようです。 とはいえ、トレーナーご…

膝関節の跛行と探査的関節鏡と掻爬後の長期成績44頭(Cohenら2009)

膝関節を原因とする跛行は、育成期には骨シスト状病変によるものが多いですが、高齢馬では関節内の軟部組織(靭帯、半月板、関節包、軟骨など)を損傷していることが多いです。 文献でわかったこと 膝関節を原因とする跛行の症例において、半月板の損傷は多…

競走馬において運動の距離とスピードは骨折リスクに影響する(Verheyenら2006年)

競走馬の骨折と調教内容について分析することは、疾病発生リスクを評価するうえで重要ですが、様々な要素が関わっていることやデータが取りにくいことが障壁となります。同一または同じような調教場を使って調教しているサラブレッドを対象にすることで、均…

英国競走馬における第一指骨近位背側骨軟骨片の発生分布(Walshら2018)

はじめに 様々な血統や用途の馬において、球節内の骨片骨折は背内側に多く発生することが報告されています。球節に骨折した場合には骨片は角がありますが、慢性または陳旧性の骨片は角がとれた丸い形をしています。 研究でわかったこと 英国におけるサラブレ…

球節に起因する跛行の馬にみられる低磁場MRI所見131頭(Powell2012)

球節領域の損傷はさまざまな病態があり、微小な変化は単純X線検査だけでは検出できない可能性があります。MRIでは、骨折や骨軟骨損傷に関連した信号パターンが続々と明らかにされてきています。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); はじめ…