育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

球節炎

球節に起因する跛行の馬にみられる低磁場MRI所見131頭(Powell2012)

球節領域の損傷はさまざまな病態があり、微小な変化は単純X線検査だけでは検出できない可能性があります。MRIでは、骨折や骨軟骨損傷に関連した信号パターンが続々と明らかにされてきています。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); はじめ…

第一趾骨近位底側骨片の関節鏡視下除去23頭(Simonら2004年)

第一趾骨底側の骨片は、若齢馬で症状を伴わないOCのような症状としてみられる骨軟骨片もあれば、運動負荷が増大して付着する靱帯から受ける力によって裂離骨折を起こすこともあります。 後肢での発生が多いこの骨折に対し、スタンダードブレッド競走馬におけ…

近位種子骨軸側骨炎8症例(Dabareinerら2001)

文献でわかったこと 種子骨軸側の骨炎は、X線DP像での種子骨の透過領域に基づいて診断されます。また、超音波検査では種子骨間靭帯および種子骨軸側辺縁の骨の輪郭を評価することが可能です。 診断麻酔で球節内または指屈腱鞘内への麻酔を行って確定しました…

近位種子骨軸側辺縁骨髄炎の7例(Winsterら1991年)

はじめに 文献で分かったこと 診断のために 参考文献 はじめに 近位種子骨は球節掌側に位置し、内と外に一つずつあり、近位には繫靱帯脚部、遠位には4つの種子骨靱帯が付着しています。 内と外の種子骨をつなぐ構造として、種子骨間靱帯があります。この靱帯…

第一指(趾)骨背側骨片除去後の競走成績(Colonら2000)

球節における第一指(趾)骨骨片骨折は競走馬で非常に多くみられる骨折で、多くはX線検査で診断されてきましたが、近年では超音波検査でより詳細に関節を観察して骨片が検出できることが示されています。 equine-reports.work (adsbygoogle = window.adsbygo…

球節背側骨片の診断におけるX線と超音波の比較(Plevinら2021)

前回に続いて球節の骨軟骨片の診断に関する超音波検査とX線検査の比較。 前回はこちら equine-reports.work (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); サラブレッド競走馬の前肢球節に限定した比較を行ったところ、X線検査の骨片検出感度は47%で…

球節背側骨片の診断におけるX線と超音波の比較(Vanderperrenら2009)

球節背側の骨片は、標準的な4方向(内外・背外掌内、背掌、背内掌外像)のX線検査で検出できます。しかし、ときにはわずかなくぼみや透過像として描出されることがあり、このような場合には超音波検査で詳細な観察をすることで骨片の有無や損傷の部位を明ら…

ニューマーケットの3つの大きな調教場における運動器損傷(Ramzanら2011年)

育成期と競走馬では調教強度が違うのもあると思いますが、ニューマーケットの調教場では運動器損傷の発生率がおよそ4頭に1頭で、脛骨骨折の比率が最も高いというのは意外でした。以前英国から来られた先生と、どれくらい運動器疾患が発生しているのか話した…

掌側/底側輪状靭帯損傷の回顧的調査71症例(Owenら2008)

球節部の掌側/底側輪状靭帯の損傷は、高齢の一般的な乗用馬に多くみられ、その多くは両側で靭帯の肥厚が見られます。 外貌からは球節の後面が出っ張った見た目となることが特徴で、このような見た目の球節では、超音波検査により皮下の線維化による肥厚と靭…

第一指(趾)骨掌側/底側の軸側骨片に対する関節鏡視下除去手術119頭(Fortierら1995)

第一指(趾)骨の掌側または底側の軸側にみられる骨軟骨片は、近年のレポジトリ検査の普及により、若齢馬で多く見つかっています。 第一指(趾)骨の近位掌側は、軸側よりに十字種子骨靭帯、反軸側に短種子骨靭帯が付着し、さらに反軸側に関節および種子骨の…

ケンタッキーの1歳セリX線検査における所見率と価格との関連(Prestonら2010)

北米の大規模な1歳セリである、キーンランドセプテンバーセール1年分について、レポジトリX線検査所見、セリ前の関節鏡手術およびセリ価格についての関連が調査されています。 ここでは、球節の第一指骨の骨片があると価格が低かったという結果が示されまし…

管骨後面の外骨症16例(Bertoniら JAVMA2012)

球節より近位の管骨後面には、ときどき外骨症という骨形成がみられることがあります。これまで私が経験した症例は、特にこれに関連した臨床症状がない、たまたまみつかった(偶発的な)所見にすぎませんでした。超音波検査を行った症例でも、明らかに繋靭帯…

種子骨軸側の骨髄炎(Winsterら EVJ1991年)

種子骨軸側辺縁の骨髄炎は、X線検査でこの部分の透過性亢進やシスト状所見として認識されます。 感染性関節炎や腱鞘炎に関連する病態もあれば、種子骨間靱帯による繰り返し負荷による慢性の病態もありそうです。 跛行のグレードは非常に悪く、治療も難しいよ…

X線検査で診断のつかない球節のMRI所見(Kingら 2013年)

以前、診断麻酔についてまとめた報告をしたことがあります。球節部に疼痛があると判断した馬のなかで、X線や超音波検査で診断がつかなかった症例は、〇%でした。この場合、どこに原因があるかよくわからず、症状が緩和するまで一定期間休養するしかありませ…

球節掌側の骨軟骨疾患(Davisら 2016年)

サラブレッド競走馬における球節掌側の骨軟骨疾患のX線診断向上

球節の側副靭帯損傷(Diagnosis and management of lameness in the horse 2nd editionほか)

球節の側副靭帯損傷